長くなったので初投稿。

元のアニメ版ダンボは大好きでおそらく50回以上は観てる。
アニメーションの全てが詰まった素晴らしい作品で、今見ても全く古さを感じない。公開された1941年ってバリバリ戦時中だからね。当時すでにこんな表現ができてたってのは恐ろしさすら感じるよ。こんな国と戦争して勝てるわけない。(白雪姫〜不思議の国のアリスあたりのディズニー作品は全部すばらしい)

象が耳ではばたいて空を飛ぶっていう荒唐無稽にもほどがある設定なんだけど、象の重さをしっかりと表現した上でダンボが軽々と飛翔するシーンは感動する。Leap of faithな名シーン。

一番好きなのはダンボが酔っ払ってすさまじくサイケデリックな幻覚を見るシーンだけど。

https://youtu.be/uj59aTIcOaE

youtubeに全編上がってるし、ドンキホーテで100円でDVD買えるから未見の人は是非見て欲しい。


そして、今回の実写版ダンボ。原作に思い入れがあるだけに不安が強かったけど、監督がティムバートンならまあそんなに酷いことにはならないと信じて観てきた。
結論から言うと、非常にアニメ版をリスペクトした作りで、ティムバートンの作家性も発揮されていて、エンタメとしてもテンポ良く楽しめる良作。

ティムバートンは孤独なはぐれ者に寄り添ったお話が得意で、シザーハンズもバットマンリターンズもビッグフィッシュもチャリチョコも、アリスでさえもハートの女王の孤独にフォーカスした話になってた。耳が大きいことでみんなにバカにされるダンボがその個性を強みにしていくという物語は作家性と合致しているのでここは手堅いところ。


不安だったのは原作にはいなかった人間側の主人公家族が登場するということ。そもそもアニメ版は動物たちがもっと擬人化されていて、動物同士で普通に会話する。主役は動物達で、人間達は背景。動物界から観た人間達はみんな間抜けな俗物として描かれている。

ダンボが子供のおもちゃにされるんじゃないかと不安になったけど、そんな事はなくてダンボと同じく母親を失った子供達がダンボと共に成長を助け合うという対称性を持った関係性。アニメ版のネズミのティモシーとカラスたちの役割を担ってる。ダンボは無理やり飛ばされるんじゃなく、自分の意思で目的を持って空を飛ぶ。


ダンボが可愛らしく描かれてるし、ディズニーランドを批評しているかのようなディストピアな遊園地の作りこんだ舞台美術もさすがティムバートンという感じ。

悪役への制裁がかなりキツイのもティムバートンらしくて良かった。


とはいえ、アニメ版のダンボのあの可愛らしさを100点としたら、今回のダンボは50点くらい。
幻覚シーンをティムバートンが最新のテクノロジーでどう表現するのが最大の楽しみだったんだけど、オマージュはあったけど、オリジナルに比べるとかなりあっさりでそれも残念だった。


未見の人はアニメ版をぜひ見よう!ビックリするよ!